職業・箱屋  箱を作るお仕事してます
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
建前から2ヶ月

建前直後の頃は 骨がむき出しのままに

ブルーシートは表皮の代用

 

 

 

図面を見ている私たちや設計士氏には

この骨やブルーシートの向こうに部屋が見えているのですが

 

 

頭の中で見えている部屋へと

たどり着くまでの道は 幾通りも あって

 

 

 

 

 

どの道を選択するかで

出来上がりも変わって来るのですよ

本当の話

 

 

 

職人さんの技術だけではたどり着けず

かと言って監督の技量だけでは無理の難題

 

 

 

未だ 骨むき出しの室内ですが

多くの人の手による下ごしらえは万端で

 

私の目には2ヶ月前より かなりクッキリと

部屋の姿が見えています

 

下ごしらえは技術 仕上げは感性

 

こちらの箱も そろそろと

感性の時間に入り始めたようです

若手の対義語は 古手なんですって

つい 先日のことのように感じます

 

 

今夏の 暑くなる少しほど前

こんな具合の見学会が催され

多くの方が見に来られ

 

 

あぁ無事に完成して良かった

施主さまに喜んでいただけて良かった と

 

 

ほんの前に お引渡しを済ませた箱が

 

 

住宅特集10月号「若手建築家の目指すもの」

というテーマに載りまして

 

これも ありがたき一冊として書棚へ並べ

私の老後の自慢コレクションに 追加 させていただきました

 

 

 

「若手建築家」というテーマですから

今号に掲載の皆さんは設計業界では若手と呼ばれる方々で

プロフィールを拝見すると1980年代生まれが中心の 40歳前後

 

今回 現場監督も箱屋の最若手が担当いたしまし

偶然にもテーマに沿えたように思います

 

そのうちこの業界も

30代前半の皆さんや20代の方や

驚異の10代が出て来たりしてくれると楽しいのですが

 

でもそんな若手建築家のお仕事は

私のような「古手」ではなく

もはや「若手現場監督」に任せるべきなのかしらん

と おもふ 初秋の夕暮れ

 

しかし

若手という言葉に反応してしまう歳になってしまったのね と

しみじみに 黄昏れて

 

それでも ただでは起きず 転んだふりもせず

新たに「古手」という言葉を覚え 語彙力上げて

雑誌への掲載とともに 収穫の秋をいただきました

明るいも正義

私たちは色んな正義に則って箱造りをしています

 

一軒一件それぞれの箱に固有の正義があり

必ずしも「この住宅が正しい」と

断定的に伝えられないところ 伝えなくて済むところに

この仕事の面白さ 楽しさを感じています

 

建前から1ヶ月半を経過したこちらの箱

 

 

図面で見ていますので 充分に分かっているはずなのに

それでも 南面全部開口が新鮮で

 

 

想像はしていましたが

明るい家造りに 慣れていない せいもあり

いつも以上に 奥まで差し込む陽光が なぜかうれしく楽しく

 

 

 

やっぱり明るい家も 正義 なんだなと

 

建築に携わる者としては イマイチおかしな感想ですが

この箱に教えてもらえた気がしています

箱屋で一人

今週 大村さんは旅行で不在だし

 

金子くんは体調を崩してお休みだし

 

事務の大西さんは「今週の出勤は木曜日だけになります」

って言ってたし

 

元々 事務所に全員揃うことは少なくて

特に昼間は現場へ出ていることも多くて

揃って事務所にいる時でも

みんな黙々と自分の仕事をしているのが日常で

 

だから事務所で一人ぼっちも珍しくは無いのに

 

あぁ今日はみんな いないんだ

 

と気付くと なかなかに寂しいのは

 

箱屋が一人ではない からなんだと思いました

夏の想い出 初秋の決意

この基礎とともに過ごした2019年の夏

 

 

 

 

紆余も曲折もなく

ただひたすらと まさに積み上げるがごとくに造り続け

 

 

ようやくたどり着いた 建前の日

 

 

気が付けば 空も少しばかり高度を上げ

目を離したスキに 秋の青へと色味を変えて

 

あの暑い夏はなんだったのかしらん 9月16日

申し分のない 好天吉日 でありました

続きを読む >>
失敗と挑戦と見学会

イカスミをそのまま塗り付けたような

真っ黒な玄関ポーチ

 

 

より黒く というリクエストに応えようと

左官屋さんは 工夫を凝らして挑戦をします

 

 

部材の配合に 当日の気温や湿度

下地の湿潤も関係あったでしょう

写真にも見て取れるように 日当たりの差の影響も大きく

その黒さから来る材料そのものの温度上昇も否定出来ません

 

諸条件考慮の末の施工でしたが

とにかくうまく仕上げることが出来ませんでした

 

 

左下隅に写る 心折れグッタリとした様子の左官屋くんは

私などが手前味噌を加える必要のない

確かな技術を持った職人さんです

 

その彼の判断を信頼した上で 失敗は失敗として受け止めて

次に彼がこの失敗をどうリカバリーしてくれるかを

私はとても楽しみにしています

 

私たちは紙一重のところで

失敗の恐れと向き合い共存する仕事をしています

 

事前にふせげる失敗を回避することは

すべてのお仕事の基本でありますが

失敗を恐れず挑戦することも 同じくらい

お仕事の基本だと思っています

 

続きを読む >>