職業・箱屋  箱を作るお仕事してます
<< August 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
我々は か弱い

私もいわゆる

工務店のオヤジ というカテゴリーに属する者の一人でして

 

私自身が世間さまからどのように見られているかは

それはそれでこっそり聞いてみたいところではありますが

それとは別に

建築業全般のイメージ向上は必須と思う者であります

 

さて工務店のオヤジ

世間さまのイメージはきっと

 

ゴツゴツとした岩のごときであったり

茶髪・色黒・イケイケの人であったり

狡猾な視線の高級外車乗りであったり

 

工務店の人が登場するドラマ・マンガも少ないのですが

出てくるとすれば おおよそ上記3タイプ しかも脇役

いずれもひとクセありそな 要注意人物扱い

 

つまり工務店の人は どうも怖がられているフシがあるのです

 

「怖がられている」の根拠を思いつかないわけではありませんが

結局のところ 何でしょうかね

見た目っすかね と開き直るしかありません

 

ここで表題の「我々は か弱い」ですが

これに「だからあまりいじめるな」というセリフが続きます

 

このセリフが載るのは「寄生獣」というマンガ

もう30年近く前の作品になることを知り驚いていますが

30年近く前に読んだこのセリフは強く頭に残っています

 

簡単に書けば

人間に寄生した上で人間を主食とする

そんな宇宙から来た生物と人類との闘いが主軸の物語

そして人類よりずっと強者であるはずの寄生獣が

物語の中盤で語ったセリフが 我々は…です

 

 

最近 このセリフが何かにつけ思い出されます

 


もちろん我々建築業者は寄生獣などではなく 一般の社会人で

日々 かなり真面目に

施主さまに喜んでいただく家造りのため

不完全な図面を実体化させる技術と知恵を提供しつつ

設計図書と様々な要求と見積書に翻弄されながら

精一杯の一年を過ごしています

 

ところで 世間の皆さまは我々建築業者が

 

どこかでズルをしていると思いますか?

手抜きをしていると思いますか?

余分に儲けていると思いますか?

 

そう思われても仕方のない事件があることは私も知っています

「建築業者 愛知」と検索するつもりで

「建築業者 あ」 まで入力すると

すぐに「建築業者 悪徳」と変換されるくらいですから

今も被害を受けている人がいるのでしょう

 

ただ手抜きをしても余計に儲けるつもりで見積書を水増ししても

何でしょうね そんな建築業者でも

一瞬は小金持ちにはなれても大金持ちにはなれないのが建築業

効率の悪さとリスクの高さは天下一品の業種です

 

そして悪徳業者がズルズルと消えては現れ

それとは別に

そんな建築業の悪いイメージに引きずられ

悪者扱いとまではいかなくても

どこかで向けられる疑いの目に

優良の工務店や職人さんまでが消えてゆき 辞めてゆく

 

さぁ 今から数十年後? 十数年後?

欲しいと思う家が建てられなくなる

造ってくれる人がいなくなる

 

そんな時代がやって来ますが

どうしましょう

 

 

我々は か弱い だからあまりいじめるな

 

 

まぁまぁの 絶滅危惧種

本来なら保護の対象でもおかしくないのですが

誰も助けてくれそうにありませんし

自己責任のところがあるのも分かっています

 

それが分かった上での

今は 建築業を守る闘いの日々

家造りの未来は 今から自分たちの手で

造っていかなくちゃいけないようです

斜面に埋まる

 

元は 雑木林で

どんぐりの木もいっぱいあって

 

 

工事の始まる前は

さて どっから手を付けるかな?

と 腕組みする場所でしたが

 

 

まぁ

終わらない現場はない ということで

 

 

関係皆様のおかげで

無事にお引渡しが出来ました

続きを読む >>
お盆を前後して

大きめの重機が 闊歩 する作業が始まります

 

 

まずの登場は 杭打機

 

 

大きなドリルを先端に取付けた鋼製の杭 7mが

 

 

最初はガリガリ ほどなくコリコリ

図体の割に こっそり静かに

地中へと沈んでいきます

 

 

作業前には

 

元々建っていた建物の杭やら基礎が残っているかも

それに当たってしまって

所定の位置に杭が入らなかったらどうしましょ

どうやらX5通りが怪しそう

うわぁ 杭の先で変な音がする…

 

など

 

まぁドキドキの2日間ではありましたが

 

24本の杭が無事 地中へと

吸い込まれていったのが お盆前のこと

 

 

そして

お盆明けからは こちらの黄色いの

 

 

基礎の工事が本格開始いたしました

写真を撮ってもいいって書いてあったから

杉本博司さんという

ウィキペディアでは写真家という肩書になっていますが

その他 芸術・書・建築までたしなまれる多才なお方

 

その人が長い歳月を掛けて造った…

いや まだ造り続けている場所が 江之浦測候所

 

 

「海景」というタイトルの杉本さんの著名な作品

空と海を水平線で2分割した写真を間近で見た先に

 

 

海が広がっているものですから

つい「海景」を撮ってみたくなるのですが

 

これはもう

(撮れるものなら)撮ってみてください

という 杉本さんの挑発としか思えず

 

事実 海の中から

水平線が中央に見える位置まで浮遊して撮ったような

本家「海景」とは似ても似つかない

 

「海景」もどきが量産されてしまうのも

杉本さんの仕掛けの一つなのでしょうか

 

続きを読む >>
完成の少し前

 

施主さまと設計士さんとで建物の出来具合を確認

 

工事途中 月に1〜2回のペースで現場打合せをしていますので

お引渡しを前にして大きな問題が起こることも少ないのですが

 

それでも細々したところで確認事項は出現します

 

 

この段階に出る話で多いのが

カーテンをどうしよう?とか

ちょっとした物を掛けるフックを取り付けたいとか

 

 

引っ越しが迫り「生活」が視野に入ると

今まで少しばかり浮世離れしていた「建築」と

その「生活」との間に すり合わせ が必要で

 

 

実際には そこのすり合わせこそが

設計士さんの腕とセンスの見せどころ

 

特に最近は その能力を高く求められている気がします

 

 

ここの設計士さん 現場も終盤となり

照明やらハンガーやらカーテンを掛けるフックやら

どうやら自作で現場へ持ち込み

うちの金子くんに取り付けを指示しているようですが

 

その辺りの細々とした部品で

住まいの方向を整えようとしている姿に

建築の妙味を感じる現場終盤の光景です

クセがすごい

屋根の下地に使っている材料は 米松

まぁまぁの断面を持つこの部材を

 

 

後々まで見えてくる部材ですので

もちろん真っ直ぐとなるよう取付けたいのですが

 

 

何ともはや それぞれなかなかのクセの持ち主で

 

 

足で押さえつけたりなんだりかんだりで

一本一本ねじ伏せて

 

 

屋根の形にするころには

日も暮れて参りました 建前2日目

 

 

この日も猛暑 38℃はありましたでしょうか

ただ 眺めの良い高台に建つのは大きな救いで

暑さの気晴らしとなる風が吹く 地の利でありました

真夏の39℃で建前を

台風の邪魔が入ったことで

もしかしたら ちったぁ涼しくなるのでは?

といった期待など 木っ端微塵の体感気温40℃予想

 

 

 

覚悟を決めての 建前 です

 

 

陽射しは凶器

 

 

気温は狂気

 

 

2時間も動けば疲労困憊です

続きを読む >>